「聞くだけで英語がペラペラに!」
「聞き流すだけでOK!」
こんなキャッチコピーの書かれた英語教材を見たことはありませんか?
「英語を聞き流すだけで英語ができるようになればラッキーだ」と思う一方で、「本当に聞き流すだけで英語ができるようになるの?」と疑問に思う人もいるでしょう。
ここでは、英語の聞き流しに効果があるのか、より効果的にするにはどうすればいいのか、について説明したいとおもいます。
聞き流しは効果がない?
まずは、聞き流しには効果がないと言われる理由について説明します。
英語の認知プロセスの観点から英語の聞き流しをみると…
聞き流しの効果について考える前に、英語の認知プロセスについて考えてみましょう。
第二言語習得の専門家であるGass教授の認知モデルで説明します。
彼によると、第二言語の学習者がインプットをアウトプットに転換できるようになるためには、下記の4つのプロセスがあります。
<インプット(Input)>
↓
1.気づき (Noticed Input)
↓
2.理解(Comprehended Input)
↓
3.内在化(Intake)
↓
4.統合(Integration)
↓
<アウトプット(Output)>
ここで大事なのは、インプットがなければアウトプットできないことです。
そして、インプットの後の「気づき」→「理解」→「内在化」→「統合」というプロセスに課題があれば、アウトプットに支障をきたす可能性がでてきます。
つまり、学習効果に影響がでるのです。
このことから、聞き流しには効果がないと言われるのです。
理解がおろそかになる
聞き流しの場合、一度立ち止まって理解するプロセスを踏まないことが多いので、ただの雑音になってしまいます。
雑音を繰り返し聞いたところで、英語が上達しないのは仕方ないですよね。
そもそも集中してない
また、バックグラウンドミュージックになってしまう可能性もあります。
BGMになってしまい、今の音に集中せず、気づきがない状態になってしまうのです。
気づきがなければ、ただの雑音になってしまいます。
プロセスが始まらないのでは、その先には進めませんよね。
あまり効果のない英語の聞き流しの仕方
しかしながら、英語の聞き流しには全く効果がない訳ではありません。
やり方を工夫すれば、効果を発揮することができます。
まずは、あまり効果的とは言えない英語の聞き流しについて説明しましょう。
「言語活動」と並行
言語活動とは、どんなことでしょうか?
言語活動とは、「読む」「聞く」「話す」「書く」を伴う活動のことです。
具体的には、「本を読む」「誰かと会話する」「メールやLINEをする」などをすることです。
こうした言語活動をしている時には、意識がそちらに向いてしまい、聞き流しの英語は完全にBGMになってしまいます。
そのため、聞き流しとの両立は厳しいのです。
レベルが合っていない文章の聞き流し
あなたの英語レベルに合っていない文章、つまり知らない単語が多くて、文法力も構文力もついていけない英語を聞き流しても、効果が低いです。
「何言ってるのかチンプンカンプン」な状況なので、ただただ認識不能な雑音が流れてくるだけになってしまいます。
これでは、効果が期待できませんよね。
聞き取れない原因を分析しない
英語が聞き取れないのに、聞き流しばかりしていても進歩がありません。
なぜ聞き取りできないのか分析し、弱点を強化しましょう。
一般的に「聞き取りができない=リスニング力が低い」と考えがちですが、必ずしもそうではないことに注意しましょう。
聞き流しを効果的にする方法
上記に、あまり効果的でない聞き流しについて説明しました。
これを逆にすれば、効果的な聞き流しができるかもしれません。
せっかく聞き流しをするのであれば、できるだけ効果的な方が良いですよね。
ここでは、いくつか方法を紹介します。
英語の語順に慣れる
英語と日本語を比べて一番異なるのは、語順でしょう。
英語は、最初に主語と述語が説明されます。
そのため、そこを聞き逃してしまうと文章が理解できなくなってしまいます。
まずは、英語の語順に慣れる必要があります。
日本語は、述語が文末に来ます。
日本語に合わせると、英語の文章を行ったり来たりすることになり、理解に時間がかかります。
そのため、英語の文章の順番で理解できるようにすると、英語の理解も早くなります。
そこでオススメなのが、「スラッシュ学習法」です。
英文解釈のコツとして知られている方法です。
英語の文章をまとまりごとにスラッシュで区切る方法です。
スラッシュ学習法で、英語を語順通りに理解するトレーニングをすることで、英語を聞き取るスピードと理解力を向上させることができます。
英語の「リンキング」に慣れる
「リンキング」という言葉を聞いたことはありますか?
単語の最後の音と、次の単語の最初の音がつながることです。
具体的に説明すると、「an apple」の「n」と「a」をつなげて「アナップル」と発音することです。
文章だけ見ていると分かりにくいですが、英語にはリンキングが意外と多いのです。
音が消えたり、別の音のように聞こえたりします。
ですが、何度も英語を耳にして慣れてしまえば、自然と聞き取れるようになっていきます。
意識して聞き流しをすることで、リンキングにも慣れてきます。
英語のアクセントやリズムに慣れる
日本語と比べて、英語にはリズムがあると思いませんか?
英語の文章には、重要な言葉を強く発音するなど強弱をしっかりとつけることが多いです。
アクセントをつけることで、英語独特のリズムが生まれます。
聞き流しの際に、アクセントやリズムに合わせて発音すれば、スピーキング力の向上にもつながります。
反復回数を増やす
上記に書いた「〇〇に慣れる」は、とにかく繰り返す必要があります。
聞き流しは、他の英語勉強法と比較して繰り返しがしやすい方法です。
聞き流しの教材は、長時間音声を流すことを前提に作られています。
どんどん聞き流しを繰り返すことで、効果もアップします。
「非言語活動」と並行させる
「非言語活動」であれば、聞き流しと両立できます。
非言語活動とは、「家事」「運転」「歩く」「走る」といった言語脳を使わない作業のことです。
掃除や洗濯など家事をしながら英語を聞き流すとか、通勤通学の電車の中で聞き流すことです。
集中して聞くことはできないかもしれませんが、耳が英語に慣れるのには役立つでしょう。
聞き流しを補完する勉強をする
ただ聞き取りやすい英語を聞き流すよりも、聞き取れなかった単語を推測して日本語をチェックすれば、より効果が高くなります。
知ってる単語が増えれば、理解しやすくなります。
単語を勉強するのもオススメです。
まとめ
ここでは、英語の聞き流しの効果があるかないかについて、より効果的に聞き流しするにはどうしたら良いのかについて説明しました。
英語の認知プロセスから考えると、聞き流しにはあまり効果がないと言われます。しかし、工夫次第で英語の上達が可能です。
あまり効果のない英語の聞き流しの仕方
- 「言語活動」と並行
- レベルが合っていない文章の聞き流し
- 聞き取れない原因を分析しない
聞き流しを効果的にする方法
- 英語の語順に慣れる
- 英語の「リンキング」に慣れる
- 英語のアクセントやリズムに慣れる
- 反復回数を増やす
- 「非言語活動」と並行させる
- 聞き流しを補完する勉強をする
聞き流しを上手に活用してください。
頑張りましょう!
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